蝶々

5年前のが出てきたから。

「蝶々」


昔あたしは蝶でした
貴方の周りをひらひらと
舞って心を和ませる
とても綺麗な蝶でした

ある日あたしを呼び出して
貴方は一言言いました
「大切すぎる蝶だから
どこにも飛んで行かぬ様
部屋の見やすい所へと
貼り付けよう」と言いました

あたしは自由を奪われて
外にも出れず毎日を
束縛と言える毎日を
ただただ過ごしていきました

貴方の傍に居れる事
貴方と共に生きる事

だけどあたしに自由は無い
あたしの針は抜けやしない
あたしの自由はここに無い

日に日に空が恋しくて
その日を待っていたのです


貴方が離してくれる日を
待ち望んでは泣きました
貴方はやがてその蝶を
空へ放ってくれました
見飽きた事と
もう他の
素敵な蝶を手に入れた満足感で

あたしは外へ出ました

あたしは自由を取り戻し
あたしは空を手に入れて
喜ぶべき事だと思っても


悲しみのあまり
泣きました